序章・第21回
「頑張れ」
この言葉は、
長い間、
正しい言葉でした。
人が、足りなければ、
頑張る。
忙しければ、
頑張る。
トラブルが、起きれば、
頑張る。
多くの会社は、
そうやって、
乗り越えてきました。
けれど、
今は、違います。
頑張り続けることが、
前提になってしまった。
頑張らないと、
回らない仕組み。
頑張らない人が、
悪者になる空気。
それは、
経営が、
仕組みを作れていない
という状態です。
特に、
自動車教習所は、
典型的な、
設備産業です。
広いコースが、必要。
教習車が、必要。
今は、
オンライン学科が、
普及しましたが、
それでも、
教室や、
模擬運転装置、
シミュレータといった、
設備は、必要です。
つまり、
一度つくると、
簡単には、
引き返せない産業です。
だからこそ、
「頑張り」で、
回す経営は、
とても、危険になります。
ここで、
少し、数字の話をします。
AT普通免許の、
教習料金を、
35万円とします。
合計から学科試験料、
オンライン学科の費用や、
検定料を差し引きます。
入学金や、諸費用は無視し、
技能と直接関係しない部分を差し引くと、
技能料金は合計で、
およそ、
31万円になります。
入学金や諸費用を、
あえて外すことで、
本当の単価が、見えてきます。
入校から、卒業まで、
技能教習は、
31時限。
技能単価は、
事実上、
1コマ、約1万円です。
指導員が、
1日11時間、勤務し、
すべて、
普通車の、
マンツーマン教習だと、
1日の売上は、
11万円です。
ここで、
複数枠を、考えます。
模擬運転装置を、
1時間。
高速教習を、
2時間。
これを、組み込むと、
4コマと、
さらに、4コマ。
合計で、
8コマ分、
生産能力が、増えます。
すると、
1日の売上は、
19万円になります。
今の時代に、
一人の職員が、
1日で、
19万円を、
売り上げられる仕事が、
どれだけ、
あるでしょうか。
IT技術者でも、
1人日、
3万円から、5万円。
そう言われる世界です。
構造だけを見れば、
教習所は、
決して、
厳しい産業ではありません。
むしろ、
とても、恵まれた構造を、
持っています。
それでも、
苦しい教習所が、
多いのは、なぜか。
頑張らないと、
回らない設計に、
なっているからです。
繁忙期と、
閑散期の、
波は、あります。
けれど、
年間計画が、
きちんと、組まれていれば、
この波は、
乗り越えられます。
無理を、
前提にしなくても、
十分に、
利益が出る構造です。
だからこそ、
今、
必要なのは、
もっと、
頑張ることではなく、
頑張らなくても、
回る経営です。
人に、
無理をさせない。
感覚に、
頼らない。
計画で、
守る。
頑張らない経営とは、
楽をすることでは、ありません。
構造を、
理解し、
使い切ることです。
ナビゲーターは、
楽をしたいわけでは、ありません。
この産業が、
人を、壊さずに、
長く、続く姿を、
見たいだけです。
頑張らない経営は、
怠けでは、ありません。
今の時代を、
生き残るための、
技術です。
舵は、
現場が、取る。
D-SAP〔デサップ〕は、
頑張らなくても、
回る構造を、
静かに、支える。
ナビゲーター
次の話題 ▶ 【序文・第22回】 自動車教習所は教育機関、だから……

コメント